乗り換え用に温存しておいたサブの回線を乗り換えるにあたって、たまたま安く売られていたPixel8を手に入れたのでレビュー。
僕にとってはかれこれ4台目のPixelになるのだが、最新モデルの完成度はいかほどなのか。メインで使っているiPhone14 Proとの比較も交えながらレビューを行っていこうと思う。
- まずは結論 完成度は高いが特出すべき強みも少ないスマホ
- 初めに 今回購入したPixel8のスペック
- 開封&付属品チェック
- Pixel8で感じた4つの進化点
- 確かにモノは良い。ただ市場での立ち位置は微妙。
- マジで誰に勧めていいのか分からない(困惑)
- 今回の総括 大人しく7aを買いなさい
まずは結論 完成度は高いが特出すべき強みも少ないスマホ
正直言うと
「Pixel8固有の」強みが少ないが故に誰に対して薦めればいいのか分からない印象
を強く感じるスマホだった。
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勿論スマホそのもの完成度は高い。昨年のPixel7と比べても細かな部分が改善されてブラッシュアップされているのを感じたし、昨今のスマホに求められる
- サクサク動く性能
- 綺麗なカメラ
- ヌルヌルディスプレイ
- 防水
- Felica
- 長期サポート
も当然全部入り。本当にスマホ単体で見れば完成度は高いのだが「今のスマホ市場全体」で見てしまうとわざわざ選ぶ理由が無いと思ってしまった。
詳しくは後述しようと思うのだが、前モデルのPixel7や7aほど
「万人に購入するべきと言えるスマホか?」
と言われたら僕はNoと答えるほど、今回のPixel8はイマイチパッとしない機種だと感じた...
初めに 今回購入したPixel8のスペック
要点だけ抑えたい方は以前まとめた記事をチェック
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さて、初めにPixel8の詳細スペックを紹介する(右は前世代機Pixel7のスペック)
Pixel8 | Pixel7 | |
---|---|---|
SoC(CPU) | Google Tenor G3 | Google Tensor G2 |
GPU | Google Tenor G3 | Google Tensor G2 |
メモリ | 8GB | 8GB |
ストレージ | 128GB〜 | 128GB〜 |
ディスプレイ | FHD+6.2インチOLEDディスプレイ120Hz) | FHD+6.3インチOLEDディスプレイ(90Hz) |
スピーカー | DolbyAtmos対応ステレオスピーカー | DolbyAtmos対応ステレオスピーカー |
カメラ | 広角5000万画素、超広角1200万画素の デュアルカメラシステム(超広角カメラがワイド化) |
広角5000万画素、超広角1200万画素の デュアルカメラシステム |
マイク | 内蔵マイク | 内蔵マイク |
拡張性 | USB-C | USB-C |
付加価値 | Felica、ワイヤレス充電(リバース対応)、防水、デュアルSIM | Felica、ワイヤレス充電(リバース対応)、防水、デュアルSIM |
生体認証 | 顔認証、指紋認証(画面内) | 顔認証、指紋認証(画面内) |
バッテリー持ち | 最大72時間(スーパーバッテリーセーバー使用時) | 最大72時間(スーパーバッテリーセーバー使用時) |
価格 | 112,900円 | 82500円 |
色々書いてあるがハイエンドスマホに求められる
- 高性能
- 高画質カメラ
- 高画質ディスプレイ
- 生体認証
- 優れたバッテリー持ち
- ワイヤレス充電やFelicaなどの付加価値
は当然全部入り。さらにここからダメ押しと言わんばかりに
- AI関連機能
- 最大7年のシステムアップデート保証
も付いており、スマホ単体で見ればGoogleのハイエンドスマホに相応しい完成度を持ったスマホと言っても良い。
しかし、販売価格は昨年のPixel7シリーズから3万円UPの112,900円〜と近年の円安情勢を反映したものになっているのは注意。
良くも悪くもiPhoneやGalaxyの標準モデルと横並びの価格設定でPixel7シリーズのようなコスパに優れる機種では無くなってしまったため「価格に見合う完成度であるか」が重要になってくる。
ちなみに僕はヨドバシカメラでキャリア版を購入
本来ならGoogleストアで販売されているSIMフリー版を購入するべきところなのだが、この記事を執筆している2024年4月現在では何故かキャリア版の方が安い上に、家電量販店では回線契約とセットで22000円のポイントがもらえるというわけのわからない状況だったこともあって、今回僕はヨドバシカメラのauコーナーにてキャリア版を購入してきた。
価格は驚異の48円。もちろん2年後の返却が必要な実質価格とはいえ
- 使い潰してもSIMフリー版の価格より安上がり
- おまけに20GBの回線(月1000円)も付いてくる
のだから、キャリア版で購入するには破格と言っても良い安さだった。
開封&付属品チェック
さて、そんなわけで購入してきたPixel8とケースがこちら。
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昨年のPixel7と同じくObsidianの128GBを購入してきた。
外箱のデザインは...特に言うことは無い。強いて言うならPixel7よりも薄型化していて、コンパクトになってぐらいで全体のデザインフォーマットは従来のPixelシリーズ共通のものとなっている。
それでは早速開封。
上蓋を開けるとまずはPixel8本体が鎮座していて
ツマミを掴みながら本体を上へ持ち上げると
下側に
- 充電ケーブル
- クイックスタートガイド
- SIMピン
- 移行用Type-C to Type-Aアダプタ
がコンパクトに同封されていた。この辺りの付属品もいつも通りだ。使わないのでそのままにしておく。
続けて純正ケースも開封。
上側を開けて中身を取り出すとかなり安っぽい保護紙に包まれたケースが出てきた。
Pixel8純正ケースはこんな感じ。
普段使っているApple純正のレザーケースと比べると安っぽさは否めないが、しっかりボタン部分や
スピーカー部分の切り抜きは正確だし
裏面もふわふわなマイクロファイバーで保護されているので「悪くはないな」と言う感じ。
外観チェック
カメラレンズ部分のくりぬきが大きくなって、角が丸まっているなどの細かな違いはあるが、全体的なフォルムは昨年のPixel7とほぼ同じ。
横一文字にアルミパーツが入っている特徴的なカメラデザインや
従来のPixelシリーズから続くボタン配置
下部のデザインや
パンチホールカメラ+フレームレスディスプレイという組み合わせまで全て一緒。
一応、四隅がiPhoneやGalaxyのように丸みを帯びている違いはあるものの、ぱっと見はPixel7と瓜二つ。外観上の違いは皆無と言っても良い。
しかし、中身に関してはPixel7で弱かった部分がしっかり改善されており「良いもの感」を感じることが出来た。
それが次に話す4つのポイント。
Pixel8で感じた4つの進化点
1 持ちやすくなった本体サイズ
このPixel8はPixel7比で約3mm横幅が抑えられている。一見すると大して変わらないように見えるかもしれないが、実際持ってみると手の中の収まり心地は全くの別物。
僕の手では若干手に余る印象のあったPixel7と比べると、Pixel8ケースをはめた状態でも手の中に収まってくれていて
- ホーム画面のアプリ配置
- ジェスチャーナビゲーション
を駆使すれば片手操作も全然余裕なのが大変素晴らしい。
もちろんiPhoneのminiシリーズほど取り回しではないものの、miniシリーズと違ってバッテリー持ちは良いし、表示サイズも適度で見やすいので総合的な快適度はPixel8の方に軍杯が上がる。
万人に販売するモデルとして実用性の高いサイズに変更してきたのは非常に良い改善点だろう。
2 よりヌルサクになったディスプレイ
従来の無印モデルでは最大90Hz駆動のディスプレイだったのが、今回のPixel8シリーズでは満を持して全機種で120Hz駆動のディスプレイが搭載された。
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リフレッシュレートだけで見れば僕がメイン機として使っている14 Proと同じで、操作性はヌルヌルサクサク。90hzよりも指への吸いつきが良く、使いやすい本体サイズと合わせて快適なスマホ体験を実現してくれる神機能だ。
まぁ、昨今の同価格帯のAndroidスマホで120hz駆動ディスプレイはほぼ必須の機能だし、なんならここ最近は5万円以下のスマホでも同機能を搭載したモデルが存在することを考えると搭載していて当然の機能ではあるのだが...
3 使い勝手が向上した超広角カメラ
Pixel8のカメラユニットはPixel7から引き続き50MPの広角レンズと12MPの超広角レンズの組み合わせなのだが、超広角レンズに関してはiPhoneと同じ0.5倍の画角にワイド化した上
- オートフォーカス機能
- マクロ撮影
にも対応。かなり使い勝手が良くなった。
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メイン機であるiPhone14 Proの超広角レンズと比べてもこの通り。画角は申し分ないし、個人的な好みで言えば画質も露骨に超広角レンズで画質が落ちるiPhoneよりAI補正を上手く活用しているPixelの方が写真自体の出来も良くて好き。
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この辺りの画像処理は以前使っていたPixel3aやPixel4あたりの良さが順当に進化していて、Pixelシリーズの良さを感じられる部分でもあった。
4 チップの進化で強化されたAI機能
今回のPixel8ではGoogle自社開発チップTensorの第3世代「Tensor G3」が搭載されているのだが、Pixelシリーズを語る上で外せない「AI機能」も新チップのおかげで強化されている。
例えば「音声消しゴムマジック」
Pixelを代表する「消しゴムマジック」の動画版とも言える機能で、Tensor G3のAIエンジンを使って
- 人の声
- 環境音(ノイズ)
- 音楽
の3つをそれぞれ抽出したり、かき消すことが出来る。
さらにもう一つの目玉機能である「編集マジック」を使えば
曇り空で撮った桜の写真も
生成AIを利用して、あたかも晴れた日に撮ったような写真にすることができたりなどなど...
全機能を紹介すると尺が長くなるので割愛させてもらうが、このようなAIを用いた画像処理や音声処理機能を気軽に使える点はPixelの大きな強みと言えるだろう。
確かにモノは良い。ただ市場での立ち位置は微妙。
ここまで紹介してきたようにPixel8単体の出来は良い。
Pixel7で不満だった部分を改善しつつ
- サクサク動く性能
- ヌルヌルのディスプレイ
- 綺麗なカメラ
- 長持ちするバッテリー
- 防水、Felica、長期間サポートなどの付加価値
も全部入り。それに加えてGoogle独自のAI機能も使えるのだから、一見すると市場での立ち位置がはっきりしているように見えるのだが、僕個人としては冒頭でもお話しした通り
「市場での立ち位置が微妙で誰に進めていいか分からない」
と感じてしまった。というのも...
無難なスマホという立ち位置→iPhoneやGalaxyがある
まず「万人に対して勧めても問題のない細かな作り込みがされているスマホ」としては
- iPhone
- Galaxy
という2大勢力が既に立ち塞がっている上に、それらと比べるとOSレベルでの細かな作り込みはイマイチ。
良くも悪くも素に近いAndroidを搭載しているので、ゴリゴリにカスタマイズされているGalaxyと比べて痒い所に手が届く便利機能が少ないのは分かるのだが
- 通信範囲内にいるのに時々電話回線が繋がらなくなる
- 再起動すれば改善するが、再起動をすると今まで溜まっていた通知センター内の通知が全て消える
- さらにGboard(Google純正のキーボードアプリ)のテーマ設定もリセットされる(Material You準拠へ勝手に変更される)
- 画面の明るさ変更バーの使い勝手がイマイチ
など、細かなところの詰めの甘さからくる問題はiPhoneやGalaxyのライバルとしてみる場合だと到底容認出来ない。
それでもPixel7までは「価格の安さ」というアドバンテージがあったから細かな問題は許せていた部分があった。しかし...
コスパの良いスマホ→Pixel7aという強力な存在が
今回のPixel8の定価は112900円(税込)。ライバルであるiPhoneの最新モデル「iPhone15」が124800円、Galaxy S23が約13万円する事を考えると決してコスパの良い価格では無くなってしまった。
一応、僕が購入した「キャリア版」だと割引込みで最大約7万円まで値段が下がるのだが、それでいうなら同じくGoogleから販売されているPixel7aはほぼ同じスペックにも関わらず値段は驚異の2万円。Pixel8の半額以下だ。
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もちろんエントリーモデルなのでPixel8に搭載されている
- 120Hz駆動ディスプレイ
- 大型センサー
- 逆ワイヤレス充電
- 強化されたAI機能
などの一部機能は使えないものの
「じゃあ、5万円以上の差額を払ってまで手に入れるべき機能か?」
と言われたら「別にそうでもない」のが現実だろう?
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5万円という金額があれば急速充電対応のType-C充電器とケーブル、なんならノイキャン付きの完全ワイヤレスイヤホンを買ってもお釣りが戻ってくる。
多くの人にとっては差を体感しにくい機能に注ぎ込むよりも明確にスマホライフを便利にしてくれるものにお金を割いた方が幸せになれると思うのでPixel7aとの価格差5万円の価値はないと思う。
オタク向けに売る→中華系やXperiaという存在がいる
「それならいっそのことスマホが大好きなオタクに売るか!」
と考えてみても、Pixel8如きでオタクが満足するわけもなく
- 最低でもPixel8 Pro。もしくはGalaxyのUltraモデルや中華系、Xperiaに流れる
- そもそもオタク向けの売り方をしていない
ためこれも非現実的。
確かにAI関連の機能はオタク心をくすぐるものがあるが、やはりハードウェア面で革新的な技術が搭載されているわけではないので、結果オタク向けとしては物足りなさを感じてしまう。
マジで誰に勧めていいのか分からない(困惑)
かなりディスってしまって申し訳ない()
いや、ほんと単体としては良いスマホなんだよ...けど
- 万人へ勧められる無難ポジション→iPhone&Galaxyという超強力にして完成度の高いスマホが独占状態
- コスパの良いスマホポジション→自社のPixel7aが圧倒的コスパとグーグルのブランド力を使って無双状態
- オタク向けスマホポジション→中華系メーカーやGalaxy、Xperiaの最上位モデルが君臨
という飽和しまくっているスマホ市場において「Pixel8」の立ち位置がマジで見つけられないんだよ!!!!!!!!!!!!どうしろと!?!?!?!?!?
強いていうならというところで最大7年間のサポート保証があるものの、ライバルであるGalaxyの最新モデルS24では遂にサポート期間が追いついてしまった。飛び道具のAI関連機能も猛追されている状況だし、いよいよ「Google純正というスタンスが好き」っていう人ぐらいにしか勧めることが出来なくなってきた...。市場が飽和しきっているからこその嬉しい悲鳴ではあるけど...
今回の総括 大人しく7aを買いなさい
個人的には「Pixel7aの方が魅力的だな」と思えたので、人に勧めるなら2万円の7aを勧めて余った差額でワイヤレスイヤホンなどの周辺機器を買うように促すと思う。というか7aで十分。
昨年のPixel7の時と違ってライバルとの価格的な優位性も薄れ、なんなら自社で生み出した最強のライバルが圧倒的コスパで無双状態の今、わざわざPixel8を購入する理由は薄い。良くも悪くもPixelファンのための最新モデルに仕上がっていて、一般ユーザーには訴求力が足りないと感じてしまったスマホだった。
モノはいいのに...市場での立ち位置と売り方が確立できないと、ここまで評価が下がるモノなのか...。いやぁ、実に興味深かった。
それではまた次の記事で。