今回はFanatecから発売されているダイレクトドライブ式ハンコン「Fanatec DD Pro」の5N版をGT7用に購入したので開封と設置レビューを行っていく。
PlayStation向けとしては最高レベルと言っても差し支えない本製品の実力はいかに...?
それでは今回も行ってみよう。
- まずは結論 10万円を出す価値は十分アリ。ただし玄人向けの製品。
- 僕が「Fanatec DD Pro」を選んだ理由
- 開封&付属品チェック
- 「Fanatec DD Pro」ファーストインプレッション
- 今回の総括 家庭用では最高レベル
まずは結論 10万円を出す価値は十分アリ。ただし玄人向けの製品。
いつも通り結論から話すと
確実に10万円出す価値は感じられる。ただし、良くも悪くも玄人向けの製品
というのが僕の結論。
マジで製品自体の完成度や性能は値段に見合った(なんならそれ以上)ものなので、10万円という決して安くないコストを払ってまで手に入れる価値は十分感じられると思う。
しかし
- 現状新品の購入方法が公式サイトでの購入のみ(しかも決済方法もクレジットカード払いしかできない)
- 後述のG923やT300RSと比べて情報がかなり少なく、設置難易度が高い
- そもそもの価格が高い(最低でも10万円コース)
である事を考えると決して万人にオススメできる製品ではないと感じる。(製品のクオリティは本当に高いのだが)
とはいえ何度もお伝えしているように製品自体の性能と満足感は5〜6万円のハンコンとは比べ物にならないぐらい高いため、個人的には少し頑張ってでも「Fanatec DD Pro」を手に入れた方が良いなとは思う。
僕が「Fanatec DD Pro」を選んだ理由
さて、結論をお話ししたところで僕が何故「Fanatec DD Pro」を選んだのかお話ししていきたい。
恐らくこの手のハンドル型コントローラーといえば多くの人がLogicoolの「G923」や
Thrustmasterの「T300RS」を真っ先に思い浮かべる事だろう。
これらのハンコンは普及価格帯のモデルとして多くのレビュワーさんにも取り上げられ実際人気のハンコンでもあるのだが、今回何故それらを選ばなかったのかというと理由はただ一つ。
駆動方式がギアドライブだからだ。
「ダイレクトドライブ」と「ギアドライブ」の違い
フォースフィードバック、いわゆる振動機能付きのハンコンは
- ギアドライブ
- ダイレクトドライブ
という2種類の駆動方式で分類することが出来るのはご存知だろうか?
前者のギアドライブは読んで字のごとくギア(もしくはゴムベルト)を使ってモーターの振動を伝達する方式で諸々のコストを抑えて価格を安価にできる反面、モーター単体のパワーは抑えめでステアリングとの間に余計な部品を経由する関係でフォースフィードバックの質感はどうしても安っぽくなってしまう。
一方「Fanatec DD Pro」を始め一部の高級ハンコンに採用されているダイレクトドライブはギアドライブの約2倍強いトルクが出せる大出力モーターの軸上に直接ステアリングがくっついているため、フォースフィードバックの質感が高い上に入力に対する応答性もかなり滑らか。それこそ実写に近い感覚で「運転」することが出来る方式がこれだ。
ただし、ギアドライブ式のハンコンと比較すると全体的な値段はどうしても高くなってしまう...
実際、僕の購入した標準モデルでもG923やT300RSの1.5倍高いし、さらにモーター出力の大きいモデルになれば平気で2〜3倍の値段になってくる。
...のだが
- 初めてまともに触ったハンコンがFanatec DD Proだった事
- 後々ギアドライブのハンコンを触ったものの、ダイレクトドライブほどの満足感は得られなかった事
- 10万円ぐらいならなんとか捻出出来る
事もありダイレクトドライブ式のハンコンを検討することにした。
価格とスペックのバランスを考えてFanatec DD Pro(5N)を購入
そんなわけでダイレクトドライブ式のハンコンから候補を探し始めたものの
- 予算10万円
- PlayStation5対応
を考えると選択肢は「Fanatec DD Pro」一択だったのが現実。
というのもこれ以上ハイパワーなモーターを積んだモデルは10万円(下手すれば20万円以上)するものばかりだし、PlayStationメインで遊ぶとなると認証を受けているDD Proを選ぶのが無難(というかほぼ確実)な選択肢なわけで...
特にPlayStation5対応というのはグランツーリスモ7を遊ぶ自分にとっては必須の条件だったので、ほぼ迷うことなく公式ホームページにて「Fanatec DD Pro」を購入。
支払い完了から4日ほどで手元に到着した。
開封&付属品チェック
外箱はPlayStationシリーズを意識した青色と白色のツートンカラー。
側面と背面には対応ハードや製品の写真が掲載されている。
それでは左右の留め(?)を解除して
箱を開けたすぐそこにはクイックスタートガイドとステッカー
一番上の発泡スチロールを取るとステアリングが入っていた。
ステアリングを取り出してみる。
「Fanatec DD Pro」付属の純正ステアリングはこんな感じ。
PlayStation公式対応品ということもあり、ステアリングには純正コントローラーにもついている各種ボタンが搭載されていて、ハンコンだけである程度の操作が完結できるような配慮がされている。
背面にはパドルシフターとハンコン本体へ接続するためのピンが用意されていた。
続いてステアリングが入っていた発泡スチロールを取っていくと...
DD Pro本体をはじめとした諸々の付属品がお目見え。
机に挟み込んで固定するためのクランプパーツ
DD Pro本体の固定や接続に使うためのケーブル類
DD Pro本体が入っていた。その見た目はダイレクトドライブの仕組みを表すかのような「でかいモーター」に見えるデザインで、冷却性能確保のためか本体が金属製なので、かなり重たい。
裏面には各種接続ポートが集まっていて
Fanatecマーク中央下部には
- シフター接続ポート×2
- ペダル接続ポート
- ハンドブレーキ接続ポート
本体下部の左右には
- 本体接続用USB-Cポート
- 電源アダプタ接続ポート
が1機ずつ用意されている。
基本的に各種シフターはFanatec純正品であればそのまま接続が可能だが、汎用品のUSBシフターなどを使う場合は別途アダプターを噛ませる必要があるので注意してほしい。
そして更に発泡スチロールを取るとペダルを取り出すことが出来る。
ご覧の様に付属品は2ペダル仕様だが、別途クラッチペダルを追加することでMT車に対応した3ペダル仕様にすることも可能だ。
STRASSE XZEROに取り付け
今回「Fanatec DD Pro」を取り付けるハンコンはこちら。(レビュー記事は後日アップ予定)
- DD Proの高出力モーターにも耐えられる高剛性
- 9畳ワンルームにも設置できるコンパクトさ
- PlayStation公式品という安心感と値段のバランス
を備えていたことに加えて、このスタンドと「Fanatec DD Pro」を組み合わせて使っている人のレビューを見かけたので、今回はこちらを選択した。
それでは早速取り付けを行なっていく。
まずはペダルから。スタンドへ取り付ける前に
ハンコン側に付属する星型のレンチを使って
自分の好きな位置で調整を行ったら
スタンド側に付属するボルトとナットを使ってスタンドに固定していく。
ちなみに今回使ったスタンドには取り付けに必要なネジが一式付属しているが「Fanatec DD Pro」自体にはネジ類の付属は一切ないため、場合によってはホームセンター等でネジを購入する必要がある点は注意して欲しい。
続いてDD Pro本体の取り付け。
ネジ留めする場合は先ほどお見せしたこのT字ナットを
- 下側で固定→本体下部のスリッドに3つ挿入
- 左右両側で固定→本体左右のスリッドに2つずつ挿入
して対応するM6のネジで固定すればOK。
今回紹介するスタンドは下側で固定するタイプなので、下側にあるスリッドにT字ナットを差し込んで付属のM6×15mmのネジとワッシャーで固定。
DD Pro本体が固定できたらステアリングと軸の向きを確認し
ステアリングの取り付けロックを解除
軸側の溝に沿ってぐっと嵌め込んでステアリング側のロックをかければ、無事ハンコンの取り付けは完了。
最後はUSB-Cケーブルや電源
ペダルの配線を接続しつつ
と、これで一連のセッティングが終わったので、ハンドル背面の電源ボタンを押して起動していく。
電源ボタンを押すとステアリング中央のインフォメーションディスプレイにFanatecのロゴマークが表示され、PlayStation5側でも認識されて無事使える状態になった。
「Fanatec DD Pro」ファーストインプレッション
ここまでかなり長くなって済まない。G923などと比べて詳細な情報が出回りにくい製品なので、かなり長々と開封や設置について書いてしまった...
とりあえず今回はファーストインプレッションとしてPlayStation5のグランツーリスモ7で軽く遊んだ感想で締めさせてもらう。
1 感動のステアフィール
まずはこれを話さなければ始まらないだろう。
冒頭でもお話しした通り「Fanatec DD Pro」はモーターとステアリングが直結しているダイレクトドライブ式のハンコンなわけだが、ギアドライブ式のG923やT300RSと比べて
- ステアリングの切り心地
- 入力に対する応答性能
- 段差を乗り越えた時の振動
がめちゃくちゃ良い。まさに感動のステアフィールだ。
ギアドライブ式が苦手とする30km/h以下で縁石に乗り上げた時の振動も大トルクモーターのおかげで「コツコツコツ」と上品なものになっているだけでなく、ステアリングとモーターの間に余計なパーツをかましていない分、ステアリングを曲げた時の感覚も非常にスムーズ。さながら実車に近い感覚で「運転」することが出来る。
とはいえ本体側とGT7の設定を詰めきれていない状態なので、より細かなステアフィールのレビューは別途アップしたいと思う。
2 純正ペダルの質感も良い
Fanatecの中ではエントリーモデルに分類される付属の純正ペダルも5〜6万円で購入できるハンコンに付属するペダルと比べれば
- 踏み心地
- 調整機構
等が良く出来ていて作りの良さを感じる。
購入前に読んでいたレビューの中には
「ブレーキペダルが軽すぎ」
「Rord Cell Kit(実車のブレーキと同じ機構を持つペダル)入れた方が良い」
という意見もあったが故に心配していた部分ではあったのだが、5N版と合わせて使う分には重すぎることもなく、むしろ乗用車に近い踏み心地で個人的には気に入っている。
まぁ、どうしても気に食わなければより実車に近い踏み心地のブレーキペダルが約2万円でFanatecから発売されているし、それを追加すれば事足りると思う。
3 クランプ(挟み込み)での設置は厳しいかも
今回僕は机ではなく専用のスタンドにネジ留めする方法で「Fanatec DD Pro」を固定したが、一応付属のクランプキットを使えばモニターが置かれたデスクに挟み込む形で設置することも可能になっている。
しかしギアドライブ式と比べてモーターの出力と発生する振動が大きいため、よっぽど頑丈な机でない限り、全体がグラグラ揺れて使い物にならない気がする。
4 安物のスタンドも基本NG
同じ理論で中華の激安スタンドもオススメしない。ほぼ確実に大出力モーターが発生する振動でプレイ中にガタガタ揺れるだけでなく、最悪スタンドが壊れて本体が落下するなどのトラブルに繋がりかねない。
出来れば今回紹介したPlayStation公式品や有名ブランド製のコックピットを買うのが無難。結局ハンコンの性能が高くてもそれを支える台が粗末な作りだとプレイ中ストレスしか溜まらないので、ハンコンと合わせてスタンドもある程度のものにしておくことを強くオススメしたい。
5 静的質感は向上の余地アリかも...?
基本的にハンコン自体の性能、分かりやすく言うなら「走りの質感(動的質感)」は非常に素晴らしい。
だが「10万円のハンコン」としてみた場合、普及価格帯のモデルと比べて
「目に見える質感(静的質感)が高いか」
と言われると正直微妙だ。
特にステアリング裏のパドルシフトは5万円で販売されているG923よりも安っぽい。もちろん見た目よりも性能に特化した製品であることは重々承知をしているが、曲がりなりにも10万円する製品である訳だし、所有欲を満たす意味でもあと少しこだわっても良いのではないだろうか?
6 基本的には玄人向きの製品
「走りの質感を高める」ことにほぼ全てのコストを突っ込んでいる事に加えて
- 日本語で出回っている情報の少なさ
- 大手通販サイトや家電量販店で買えない敷居の高さ
- そもそもの値段が高い
事を考えると冒頭でもお話ししたように、やはり玄人向けの製品なのだなと強く実感させられた。というか「気軽にハンコンを楽しむ」のみに焦点を絞るなら
- どこでも買える
- 接続や設置も簡単
- しかも安い
G923やT300RSの方がダントツで優れている。マジで。
この「Fanatec DD Pro」を使いこなそうとするとパソコンを使ったハンコン本体のソフトウェアアップデートは必須だし
- 遊びたいタイトル側でも設定を詰めていく
- 大出力モーターに耐えうる剛性のスタンドを用意する
などまとまった時間をかけてじっくりカスタマイズしていく必要が生じる。それこそ一部の車種に近い運転フィールで遊びたいとなると更に長い時間が必要だ。
はっきり言ってそんなことよほどの車好きでもない限り苦行でしかない。
ギアドライブ式の上記製品と比べて操作感覚は間違いなく良いものの、その真意を発揮するために「ある程度の労力」を投入しなければいけないと考えれば、とてもじゃないが玄人以外にオススメできる製品ではないと僕は考える。
今回の総括 家庭用では最高レベル
とはいえ性能は折り紙付き。価格とのバランスを考えば現実的に買える製品として最高レベルに違いはないので、10万円払っても良い覚悟があるなら買ってみて欲しい。少なくとも性能面で不満を覚えることはないはずだ。
とりあえずファーストインプレッションはここまで。次はもっと設定を詰めた上で分かったことを中心にお伝えできればと思う。